海の日を含む7月の連休、梅雨明けにばっちりタイミングが合い(日頃から善行は積んでおくものなのだ(^^)v)、宇宙まで尽き抜けるような夏晴れのもと、黒部源流に行ってきた。当初、比較的山歴の若いメンバーたちが中心になって新穂高温泉から槍ヶ岳に登る計画を立てていて、これは好都合と古株もそれに乗っからせてもらったのだったが、自分はといえば槍ヶ岳にはもう何度も登っているから新味がない。そこで、既定の行程途中でパーティから別れて鷲ヶ岳と水晶岳に登り、新穂高温泉で再会するバリエーションは認められないかリーダーに打診したところ、これを受けて果たしてどんな相談がなされたものか、しばらくして全員がこのコースで行くことになった旨の山行計画書が送られてきた。 ん〜、なんだか、古株がわがままを通したようで申し訳ない気がする。

 ともあれ、一行7人は一台のワゴンに収まって17日夜和歌山を出発。18日(土)3時に新穂高温泉に到着し、若干の仮眠を取って5時25分、身支度を調えて行動を開始した。最初はゆるやかな登りの林道を1時間余で「わさび平」。そこからしばらくで登山道に入り、鏡平まで約3時間半はひたすら単調さに耐えての長い登りとなる。もう何度も歩いたルートだが、幕営用の荷を背にして慣れることがない樹林帯の難行苦行だ。

 途中通過する秩父沢は今年は残雪が多く、スノーブリッジが崩壊する恐れがあるとのことで、虎のロープを張って進入を規制していた山小屋関係者とおぼしき青年たちから、赤テープが貼られた灌木帯を高巻くよう指示される。で、そのテープに従って灌木帯に踏み込んでみたのだが、入ってみればまるで藪こぎだ。あえぎながら木登りを繰り返すようにして雪渓の上部に脱出し、雪面をトラバースして対岸に渡ったが、この無理な体勢での木登りで全員、相当消耗したと思う。

 鏡平着は11時5分、この時点で足がつったメンバーや重荷で相当疲労困憊のメンバーもいて先行きが懸念されたが、鏡平でたっぷり1時間の休憩を取って体力を回復させ、そこからさらに2時間半の登りをがんばり抜いて14時35分、ようやく双六小屋のテン場に到着した。久しぶりの重荷で足の筋肉は引きつり息も絶えだえ、まさに這うようにたどり着きその場で荷を放り出すような情けなさであったとしても、ともあれ小屋に着きさえすれば何はともあれまずはビールなのであって、これさえあれば幸せ一杯の一同は紀峰の山行必須の宴会を終えるや、そそくさと三つのテントを張り、食事を済ませてさっさと寝た。


双六小屋の手前にテント場、背景は鷲羽岳(2924m)、その左肩に水晶岳(2986m)

 翌18日(日)も快晴、元の計画では三俣蓮華小屋のテン場にテントを設営してから、鷲羽岳、水晶岳を縦走して三俣に戻る予定だったが、双六のテントをたたんで又すぐ三俣で設営するのは時間のロスが多いということで、双六にテントを張ったまま軽装で長躯水晶岳までピストンすべく3時過ぎに起きて朝食をかき込み4時25分に出発。しかし、雪渓をいくつも超えて三俣蓮華小屋に着いた6時45分、そこで再度検討した結果、このペースでは日のある内に双六のテン場に戻れない可能性があるという判断に至った。


三俣小屋へはいくつも雪渓を超えてゆく


三俣小屋への縦走路から望む槍ヶ岳

 …ということで、心残りだが水晶岳は次の機会に回すことにしてパス、鷲羽岳のみ登って帰ることにしたの、だが、Toさんは元気一杯でどうしても水晶岳まで行きたいというのでリーダーはこれを了解。常時相互に連絡が取れるようハンディトーキーを手渡すや、たちまち一行を残して風のように走り去り、その後、たちまち鷲羽岳から水晶岳まで縦走して帰路は黒部源流に下って這い上がり、本隊を忠実に追って三俣蓮華岳、双六岳を経由、鷲羽岳のピストンした本隊とは標準タイムで4時間近い差があったルートを走り抜き、本隊から約1時間遅れるだけで双六小屋に戻ってきた。ん〜、実に素晴らしい健脚だ。


ハイマツに埋もれるような三俣小屋、背景のピークは三俣蓮華岳(2841m)

 ともあれ残る6人は目の前にそそり立つような鷲羽岳の急坂を息を切らしながら登り、8時20分に登頂。快晴の夏空の下に広がる胸の空くような北アルプスの景観を1時間近く存分に楽しんでから下山した。そこから三俣蓮華岳、双六岳を経由して双六小屋のテン場には13時50分着。もちろん例によって生ビールで乾杯してあとは宴会だ。苦しいことも多い山行だが、この解放感が何とも言えない。だから山はやめられない。


鷲羽岳山頂から望む槍ヶ岳、手前は鷲羽池


三俣山荘では食堂から槍ヶ岳が贅沢に望める。…ってことは絶景に生ビール付き! まさに天国

 翌19日(祝)は下山日。4時半に起きてそそくさと食事を済ませ、2日間泊まった3張りのテントを撤収し5時35分から下山にかかった。行程は長いとはいえ、基本的には下りだから体力的にはずいぶん楽だ。高山植物の説明をしながらぶらぶら下ってゆくと7時15分に鏡平小屋着。すぐ近くの鏡池には槍ヶ岳の倒影が映っている。光線の状態がイマイチなので写真は冴えないが、鏡平を訪ねること6回目にしてようやく出会えた光景だ。それに満足して先を急いだ。


鏡池からの槍ヶ岳倒影、日が昇りきって光線の状態が良くないから写真はイマイチだが、ともあれ6回目の訪問にして、ようやく出会えた光景だ。 自分の執念をほめてやりたい。(^_^)v

 鏡平ではかき氷を、また「わさび平」では名物のそうめんを食し、新穂高温泉の駐車場着は11時55分。共同浴場「平湯の森」で汗を流し、高速では恐るべき大渋滞に悩まされながらも23時、その日の内に和歌山市内の集合場所に無事帰着した。車一台に7人を詰め込み、幕営で通したおかげで2泊4食に交通費、温泉代も含めひとり当たりの分担金は7500円。水晶岳に一人しか達せられなかったのは心残りだが、飽きるほど槍ヶ岳を眺めるだけで十分満足できた山行だった。行動をともに
してくれたメンバーに心から感謝したいと思う。

当山行記録は、著者の了承により以下のブログより転載しています。
http://plaza.rakuten.co.jp/ecopiecealpinism/diary/201007210000/ へのリンク

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山行日 2010年7月17日(土)〜19日(月)    天気 晴れ
メンバー リーダーTuさんを含め7名
コースタイム 
7/16 和歌山発21:00⇒

7/17 新穂高発05:25→鏡平山荘着12:00→双六小屋着14:35(テント泊)→
7/18 双六小屋発04:25→三俣山荘06:40→鷲羽岳08:20→三俣山荘09:50→
   双六小屋13:50(テント泊)
7/19 双六小屋発05:35→鏡平山荘07:15→新穂高着11:55⇒和歌山着23:00

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