下ノ廊下顛末紀(10月8日から11日)             ささゆり 齋藤

コースタイム
10/08 21:00和歌山駅東口発⇒03:40扇沢着 仮眠

10/09 06:30扇沢発(トロリーバス)⇒06:45黒部ダム着
    07:00黒部ダム発→07:20ダム下木橋→08:30内蔵助谷出合→09:50岸新越沢→
    11:15別山谷出合(10分休憩)→11:55白竜峡→13:25十字峡→14:25半月峡→
    15:20東谷吊橋→15:20仙人谷→15:40仙人ダム(10分休憩)→
    16:50阿曽原温泉小屋着

10/10 08:00阿曽原温泉小屋発→08:40水平道→10:05折尾大滝(10分休憩)→
    11:00欅平ビュポイント→11:25大太鼓(休憩)→11:55志合谷トネル12:00→
    13:00対岸岩壁→13:50欅平への下り→14:45欅平15:05→15:55祖母谷温泉着

10/11 08:15祖母谷温泉発→08:55欅平
    09:25欅平発(トロッコ電車)⇒10:38宇奈月温泉(温泉・食事等)⇒
    21:00和歌山着


 前夜、集合時間の21時に合わせ家を出た。その時は出かけるのに躊躇するくらいの降り様で、明日からのナンギな山行が頭をよぎった。しかしそれでも8人のメンバー誰一人からもキャンセルの電話がこなかったんだよ!
 初日は予想に反し小雨の中の出発で、誰かの言う最小不孝の出だしとなった。全員張り切っているが、今日の長丁場を考えてことさらゆっくりとダム下に降りた。
 それからは長い長い道のりなのだ!
 雨の廊下は慎重にならざるを得ない。特に垂木4本で渡してある丸太桟道や下りのはしごは、絶対に足を滑らせてはいけない所。左のワイヤーに手を添えて行く先にネットで見た景色が次々に表れるが、雨の中か細い廊下では自由が利かない。そうこうする内にとうとうカメラのレンズが湿気で曇りだした。
 そんな中ジンク・ホワイトの白竜峡は聞きしに勝るド迫力で我々を圧倒する。何処まで行っても白竜峡が続く景観や、足下に気を取られてはいるがそれにしても長い!遠い!休憩時以外は景色を眺める余裕がない。

 右手下には黒部川がずっと一緒にあり、もう飽き飽きするほどの時間が経って、突然左(西側)からの流れが表れたと思ったのが十字峡であった。西は立山・剣岳から流れてくる剣沢。東は爺が岳・鹿島槍ヶ岳から流れてくる棒小屋沢。この剣沢と棒小屋沢がこの黒部川で十字に交わる所、ここが十字峡である。ようやく来たんだね!しかし感激もそこそこに吊り橋を渡って先へ急がねばならない。

十字峡
 十字峡から2時間、東谷吊橋到着でようやくめどが立った。すぐ近くが仙人ダムなのだ。
 仙人ダムの施設内の迷路のような細長い通路で最期の休憩を採り、17時ようやく本日の終点阿曽原温泉にたどり着いた。
 わが天幕で一息ついた時分に呼ばれ、隣の辻家で夕食を頂いた。私は洋子さんの暖かいトマトチャウダーとフランスパンでまったく蘇生した!これでおなかは申し分なく満足したが、まだパンツまで濡れている。とっさに辻家からそのままヘッデンを頼りに温泉場に直行する事にした。ここは時間帯で男女を分けているが、テン場にはその表示がない。従って、テン場の人々は常にフリーなのだ。
 その時は幸か不幸か誰も居なかったので、小雨降る漆黒の闇のなか一人この世の極楽を享受したのである。

 二日目はやはり小雨模様であったが、前日と違って時間を気にしなくてもよい。と言うのも今日は祖母谷温泉泊まりなのだ。
 廊下より高度差のある水平歩道も結構楽しい。行く手のビリジャンに6Bで引いたような見事な線が続いている。
 突然後であれは何ですか?戻ってみると、谷を通してずっと先に何か建物がある。欅平がここから見通せているのだ。結局ここから欅平まで4時間が必要だった。
 大太鼓はまだか!昨日から前後して歩く新潟のグループがそこにいた!一目でそこが大太鼓と判る。見事な張り出しで、ちょうどカーブにさしかかった人が向こうの灰褐色に溶け込んでいる。
 志合谷が行く手を深く遮って、われわれを西へ西へを誘導する。前の時の記憶ではかなり遠くから志合谷を覆う雪渓が見えたのだが、今回は雪渓は全くなく突然トンネルが表れた。その長いトンネルを歩きながら、吉村昭の「高熱隧道」の記述を思った。トンネルを出て東に少し行った所で、いま通過したトンネル下に古い鉄筋の建物を発見した。ここがあの現場なのだと言う感慨に胸が熱くなる。また来て良かった!
 祖母谷温泉は3年前と同じ装いで待っていてくれた。天幕設営が終わるとさっそく露天風呂に!なんせ天幕も寝袋もジットリとしていて、せめて体を温めないとそこに収まる気がしない。今夜も洋子さんの手料理「韓国鍋(料理名は失念)」を頂いて、お腹からも暖めてもらった。
 その後小屋組の部屋にお邪魔して、2日間歩き通した開放感をみんなで共有した感じだ。その時の内風呂も入れて、私は6回入浴したのを含め、前日の阿曽原温泉4回と翌日の宇奈月温泉1回とで、都合11回の温泉入浴を果たした!この際、何しに行ったんじゃいという声は無視する。
 
 Yahoo! JAPAN
ウェブ全体を検索    このサイト内を検索
 
Copyright (C) Kihou 2008 All right reserved.
Please always do not redistribute any image files of this site.

ホーム → 山行結果 → 下ノ廊下顛末記

下ノ廊下顛末記

サイトマップ

初心者のための
登山用語小辞典

紀峰山の会
入会案内
リンク集
お問い合わせ
イベント案内
年間山行計画
ダウンロード
月例山行予定
山行結果、写真など
入会申込みフォーム
掲示板